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祝福の日(アイリワとアビト)

1月26日誕生日でしたうちの可愛いアイリワが
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「片付けありがとうアイリワ。今日の主役なのに悪いな」

手に数枚のお皿を抱えていた彼は優しく声をかけてくれた。私は床で眠っている友達に
毛布をかけながら返事をする。

今日は私のお誕生日。

正確には私が「目覚めた」日。自分の素性すらよくわかっていない私に記念日を考えてくれたのは
この国の偉い人だ。今でも付き合いの長い友達で一緒にお話したり、お茶につきあうこともある。

特別な日である今日、友達数人で集まってお祝いをしてもらっていた。

夕方呼び出されて私がその場所へ向かうと机に広がっていたのは色鮮やかなお料理と
素敵なプレゼント。それらとともにたくさんの優しい言葉をもらった。気づけばあっという間に
時間が過ぎていて外は真っ暗。お腹いっぱいになった友達は次々と横になって眠ってしまい、
通りがかったアビトが片付けを手伝ってくれていた。

「ワトたちみーんな眠っちゃってる。明日何もないって言ってたしこのまま泊まってもいいかなぁ」
「それもいいと思うけど、もう少ししたら起こしたほうがいいと思うな」
「うん…アビト、ありがとね。片付けもやってもらっちゃって」

お礼をすると彼は気にしないでと言いながら上着を着てベランダへと出た。みんなを起こさないように
私も続いて外に出る。冷たい空気のせいでアビトの口元から白い息が見えた。

彼につられるように私も空を見上げると綺麗な夜空が広がっていた。ここは国の中心に近いうえに
建物も多い方だけど月明かりがない今日は小さな星も輝いて見える。

「私…こんなに幸せで、夢見てるみたい」

思わず本音が口から出てしまう。ベランダの手すりを強く握った私は一呼吸おいてから
言葉を紡いでいった。

「目覚めてからいろんなことがあったの。私の力を兵器として使うーなんて変なこと
言う人たちに捕まって…嫌なことばっかりでひねくれちゃったりもした。
ここから消えてなくなりたい。こんな場所に生まれたくなかったって思っていたの」

私が持っている力を利用とする人。生まれを悪戯に調べようとする人。私を壊そうとした人。
目覚めてからはそんな人たちに囲まれて過ごしていた。今でも思い出すだけで苦しくなる。

「…それでもね。リイナとお城で出会って私が普通に過ごせる環境をくれたこと。
シーシェ姉ちゃんたちやパレットの大事な仲間と出会えたからちゃんと笑えるようになったんだ」

かつてはなくなることを望んだ世界も今は違う。自分の力で守りたい。
それまでの感情が嘘のように、まるで世界が変わったかのように幸せな気持ちになったのは
自分に勇気と優しさと、大切な居場所をくれた人たちのおかげだった。

「私…いなくならなくて、よかった」

いいきると手の甲にほのかな熱があった。私は彼のほうを見ると照れたように目をそらされた。
その代わりに握る手に力がこめられたことに気づいてなんだか私まで照れてしまう。

「…アイリワが生きててくれて、本当によかった」

微かでもはっきりと聞こえたその言葉になんて返したらいいのか分からない私は
アビトの顔を覗き込むように見た。さっきよりも赤い頬でうつむきがちに彼は続けた。

「誕生日おめでとう。アイリワ」
「うん…ありがと」

ありきたりな返事をしてしまったけど、それでも彼は笑顔で受け止めてくれる。
出会ってから何度も見てきたこの光景も今の私の大事な生きる理由。
ふと互いの手に残る熱に気づいて同時に手を離した。私はあのままでも良かったのだけど。

「……ところでなんだけど」
「…なに?アビト」
「いや、その…みんな寝てるんじゃなかったの…?」

気づいて後ろを振り向くと窓際から覗き込む人影が六つ。

「いやぁーだってね!起きたら窓が少し開いてるなと思ってベランダを見たらさ、アイリワとアビトくんが
外で何やら話してるじゃん!そろそろ進展するかな~~って気になっちゃってーつい!」

「そうなったら最後まで見届けるしかありませんわ。どうぞ気にせず続けてくださいな」

「ごめんねアイリワ!この二人を止めるのは一人じゃ無理!」

「ミシュカーはもう眠いから完全に寝まーす!おやすみ!」
「…自分の部屋に戻ってから寝なよ、ミシュカー」

「わ、私は何も見てないよアイリワ…でも、ほんの少しだけ気になって…」

アビトは手で顔を隠しているけど私と同じ気持ちだと思った。叫びたくなる気持ちを抑えて
私たちは寒い夜空から暖かい場所へと戻っていく。

この先もこんな賑やかな場所にいられますように


fin

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